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事業内容 建築・土木事業 施工事例【公共・公益】

公共・公益

神戸アイセンター

PICK UP WORKS

神戸アイセンターは、世界に向けた発信力を持つ神戸医療産業都市に位置し、iPS細胞を活用した網膜再生など、世界ではじめて眼科領域に特化した最先端の研究・臨床・ソーシャルワークを実践する「眼のワンストップセンター」です。

PROJECT DATA / CREDIT

発注者 神戸都市振興サービス株式会社
設計・監理 株式会社日本設計
構造 S造
階数・延べ面積 地上7階建/8,583㎡
所在地 神戸市中央区港島南町
主要用途 病院・事務所・研究所
竣工年月 2017年11月

神戸アイセンターについて

本物件は高い精度やディテールが求められる鉄骨造を、限られた敷地の中で短工期でつくることを要求されました。また、多用途の複合施設のため、それぞれのフロアで異なるつくり込みが必要。特に視覚障がい者の方が多く利用する「ビジョンパーク」ではこれまでにない段差と家具の空間をつくるため、徹底した細部の追及と現場管理が不可欠でした。

神戸をホームグラウンドとする明和工務店では「この街のシンボルになるものを自分たちの手でつくるんだ」という想いのもと、そうした課題を一つひとつ解決。設計者や各専門家とともに、神戸から世界へ誇れる、最先端の医療施設をつくりあげました。

意匠性の高い構造体を高精度に実現

街のシンボルをつくる。その想いは、本物件の外観デザインにも詰まっています。意匠性を高めているのが、大部分を構成するカーテンウォールと、そのガラス越しに連続して配置されたA字型の鉄骨柱。その実現に向けて、設計者、監理者、施工者が緊密に連携をとりながら、立案・計画・施工検証を実施しました。

特にA字型柱は製作・建て方時に誤差が生じると意匠性にも影響する重要な構造体のため、3D-CADを活用しながら製作組立の順序や精度管理方法を検討してモックアップを作成。さらに、部材の加工精度、溶接ひずみの影響も考慮し、許容範囲内の精度が確保できるか検証を行なった上で本製作に入りました。

鉄骨建て方は、4つに分割された部材を地上でA字型に組み上げた状態で上架。これにより誤差を最小限に抑えた上で、意匠性と作業効率を確保しながら施工を進めることができました。

周辺への影響を、最小限に

世界に誇る施設も、地元の方へ迷惑をかけながら建設されては意味がありません。だから、仮設計画にも細心の注意を払いました。

本物件東側には最寄り駅の「医療センター」駅から中央市民病院までをつなぐ歩行者デッキがあり、昼夜問わず多くの人が行き交います。アイセンター2階のメインエントランスにも接続されるこの歩行者デッキは工事期間中も閉鎖することができず、躯体・外装施工用の仮設足場を、通路デッキ上空に設置する必要がありました。通路デッキには足場荷重をかけられないため、デッキ屋根上部をまたぐように仮設の支保工・梁・床版を設け、その上に足場を設置。施工に必要な作業床の確保と、落下物などによる第三者災害や既存デッキの破損の防止に努めました。

また、医療施設、研究施設に囲まれた立地のため、低騒音・低振動型の機械や工法を選定し、工事の影響を軽減。塗装・工事では臭気の影響を低減するため、換気設備の配置や、近隣施設関係者への調整を徹底しました。

心配りは、施設利用者へも

神戸アイセンターの中でも大きな特徴であるリハビリ・社会復帰支援のための施設「ロービジョンケア(ビジョンパーク)」の施工では、原寸大のモックアップを作成。目の不自由な方たちに実際の段差や色使い、仕上げ表面の触り心地などを体験いただき、さまざまな想いをヒアリング。数ミリの段差や目違いも直感的に気づかれることを知り、より高精度な仕上がりとなるよう、利用者目線に立った入念な施工へとつなげました。

「この街のシンボルになるものを自分たちの手でつくるんだ」という想いのもとに、さまざまな課題を乗り越えながら完成した本物件。神戸アイセンター病院は開院後に患者満足度調査を実施し、2019年度の入院患者の満足度は100%を達成することができました。
職員のモチベーションも高く、優秀な研究者や医療者、多くの当事者や市民が集まる場として大きな役割を果たしています。そうした施設づくりの一翼を担えたことは、明和工務店にとっても大きな誇りとなりました。